白い尾とあなたへ

髪と君とその気持ち kr ページ8

お相手「」あなたは『』です

お風呂あがり。タオルを肩にかけたまま冷蔵庫に手を伸ばす。ペットボトルを取り出し、水を飲む。ふぅー、と一息ついて前を見ると、ドライヤーを持って扉から顔をのぞかせる彼がいた。
「おじょーさん、髪乾かしましょ?」
『乾いてるよ結構』
「ちゃんと乾かせ〜」
ぶおおおお。いちばん強い風量でこちらに風を向けてくる。
『わかった!わかったって!w』
「ほら〜おいで?」
ソファ座るように促され、抵抗する理由もないので大人しく座る。背後からふわりと彼の香りがする。
『乾かしてくれるの?』
「この状態で乾かさないわけないでしょ？」
『かっこい〜！ありがと〜』
「今更か〜？」
彼の好きなボブ(ちょっと伸びちゃったけど)、センター分けで長めの前髪。彼に可愛いって言って欲しくてこの髪型を何年も続けている。鼻歌を歌いながら、優しく髪を撫でる手が暖かくて、安心感があって、眠気を誘う。
「俺の好きな髪型で、俺だけの髪で、俺だけの寝顔。こんなに幸せでいいのかなぁー。」
「好きだよ、ほんと」
ドライヤーの音にかき消されて聞こえてないと思ったのかな？大好きな彼の声を聞き漏らすわけが無いのに。浮かれてのぼせたように感じる心を落ち着かせるために、手を固く握る。
「はい。乾いたよ」
『お、ありがとう』
「今日も綺麗な髪ですね〜」
『まあ手入れはしてるので』
「うん。ばっちり。」
ドライヤーが終わってもずっと髪を愛おしそうに撫でてくる、その手が大好きでたまらない。
「俺も風呂行ってくる。先寝てな」
『うん。あ、きりやん』
「ん?」
少し勇気をだして。可愛いって言ってくれる笑顔で。
『私も大好き』
「、、、、へ?」
私もって、え、あ、なんて顔を赤くして口ごもる。珍しくペースが乱されて焦っている姿が見れてご満悦。今日はよく寝れそうだ。

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